鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

X (旧Twitter)Facebook

Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

教育について

研修医の方へ

留学生便り

バックナンバー(2014年)

国外

1. Mayo Clinic, Cardiorenal Research Laboratory
市来 智子

早いもので,2008年の留学報告より7回目の報告となりました。ミネソタ州ロチェスターでの極寒の冬,雪道の通勤にも慣れましたが,鹿児島での生活に全く生かせないのが残念無念です。この7年弱の間,アメリカ留学時はブッシュ大統領,そしてオバマ大統領の熱狂的な初当選を経て今は国民や国会の信頼を失い,残念な状況が続いています。2008年3月留学時の1ドル95円から民主党時代に75円まで下がりましたが,今は1ドル120円近くまで回復し,私のささやかなドル貯金も円換算で順調に増えて嬉しい限りです。CNNは聞き流しでも内容は把握できるようになり,アメリカ国内及びヨーロッパへの旅行でも言葉は苦にならなくなりました。しかし,患者さん相手のインフォームドコンセントは自分の英語ではさすがに辛いものがあり,特に術前の患者さんは余計な不安を与えて主治医に迷惑をかけないよう,アメリカ人のスタディコーディネーターに常に同行してもらうようにしています。

バーネットラボでは利尿ペプチドなどの神経内分泌因子,心腎連関のメカニズムなどの研究を細胞・動物・そして臨床研究へとつなげていくトランスレーショナルリサーチを行っています。この7年弱の滞在で,ラットの実験以外のほぼ全ての実験手技・研究立案・研究費獲得から実行・論文や総説の執筆・ラボの資金運用・学会発表や座長・研究費申請や論文及び学会抄録の査読など様々なことを学ぶことができました。特にこの1年はバーネット教授のいくつかの新薬及び自分の研究の中から発見した新薬に必要な,臨床前試験からFDAへの新薬申請,特許申請やPhase I,Phase IIなど計画・実施をつぶさに体験し,非常に実りのある楽しい一年でした。来年はイヌの実験・LVAD の臨床研究を終了させ,残ったラットの実験手技を学ぶ予定です。

ミネソタ州は緑と水がいっぱいで,空気も綺麗で,アウトドアが好きな方には最高だと思います。治安も非常にいいです。この6年,歯科・眼科などいろいろな科にかかりましたがアメリカの医療は高価すぎるのに毎回衝撃を受け,日本は本当に恵まれているなぁと感じています。

最後になりますが,長らく私を支えて下さいます医局の皆様に厚く御礼を申し上げ,皆様の御健康と今後の医局の発展を心より祈念いたします。

2. Stanford University Division of Vascular Surgery
古庄 優子

皆様ご無沙汰しております。私は2013年4月より,アメリカカリフォルニア州スタンフォード大学血管外科に研究留学をしています。

スタンフォード大学は,サンフランシスコから南へ約70km,パロアルトという街にあります。気候もよく降灰もないため,大変過ごしやすいところです。シリコンバレーには,日本人や日系人も多いため日本食も手に入りやすく,住みやすい地域だと思いますが,1ベッドルームの家賃が平均27万円と,生活コストが高いのが難点です。

私が属するDalman Labでは,主に腹部大動脈瘤に関する基礎研究を行っています。主に日本と中国の血管外科医や心臓外科医が在籍しており,内科医は私一人です。外科医が作成したマウス動脈瘤モデルの組織学的検討や,PCR解析を行っています。

現在私は,Hypoxia Inducible Factor 2αが大動脈瘤形成に及ぼす影響について研究しています。マウス動脈瘤モデルを作成し,腹部エコーで腹部大動脈瘤の形成過程を測定するのですが,スタンフォード大学の共用施設には動物専用の40 MHzプローブや麻酔吸入器などが充実しているため非常にありがたいです。

留学をするにあたり,お世話になりました医局の皆様に感謝しております。

思ったように結果が出ない事に焦りを感じる事もありますが,現在の経験を鹿児島で活かせるよう,日々大切に過ごしたいと思います。