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老年・総合診療
老年医学と総合診療について
2018年65歳以上の高齢者の割合は28.1%となり、過去最高となりました。その中でも70歳以上の人口は2618万人(20.7%)で、初めて20%を超え、我が国は超高齢化社会に突入しています。
高齢者は複数の医療機関を受診していることが多く、器質的疾患も1つではないことが多いです。近年、臓器別の専門医志向が高まっていますが、高齢者医療は専門分野の知識のみでは対応できないことも多く、高齢者医療においては身体機能、精神状態、QOLなど幅広く診察できる総合診療が必要とされています。
高齢者の疾患・病態の主な特徴としては下記があげられます。
- 複数の疾患を有する
- 症状が非典型的である(認知症などで訴えもないことが多い)
- 薬物に対する反応性が異なる
- 認知機能低下による生活レベルの低下がある
我が国の三大死因は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患であり、高齢者の死因の主な原因でもあります。そのため、患者の全体像を把握し、これらの疾患に対してきちんとしたアプローチができなければなりません。
① common diseaseに対応ができる
② 緊急性があるかどうかを判断し、専門医に適切な紹介ができる
③ 総合的機能評価に基づく医療計画を立てることができる
④ 他の医療機関、介護サービスなどと医療連携を構築し、包括的な患者サポート
⑤ 患者背景を考慮した個別の医療
⑥ 終末期医療
外来患者の約半数は65歳以上の高齢者であり、老年と総合診療は切っても切れない関係にあると言えます。また主な傷病別の推計外来患者数では、高血圧性疾患、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病が多く、生活習慣病の患者は10年前と比較して増加しています。高血圧、糖尿病、高脂血症は冠危険因子の1つであり、血管老化・動脈硬化予防のためには良好な血圧・血糖・脂質コントロールが不可欠です。高齢者の診療と循環器内科の領域は共通点が多く、内科全般を診療する上では大きなアドバンテージとなります。