患者様へ:当科が専門的に行っている疾患・治療
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)
心臓の中で重要なポンプ機能の中心的な役割を担う左心室から、大動脈という大きな血管へ血液が押し出され、体全体へ行きわたります。左心室から大動脈への出口には、三枚のドアでできた大動脈弁という逆流防止弁があり、左心室から大動脈へ血液を送り出すタイミングで開き、そのあとに血液が左心室へ逆流しないように閉じる構造となっています。その大動脈弁の開きが悪いと大動脈弁狭窄症を引き起こし、動いたとき・運動した時などに息切れの症状を感じるようになります。大動脈弁狭窄が極めて高度(重度)になると左心室からくみ出される血液が非常に少なくなるため、特に体を動かしたときに失神やめまい・ふらつきなどの症状が現れます。一旦息切れや胸の痛み、失神などの症状が出た場合には、心臓弁置換術を受けなければその後の経過は非常に悪いことがわかっています。大動脈弁狭窄症の新しい治療として、カテーテルを使った大動脈弁置換術があります。この治療は、足の付け根の動脈から折りたたんだ人工弁の内側に弁を開くための風船を装着した特殊なカテーテルを入れ、大動脈弁まで持っていき、狭くなった大動脈弁を新しい人工弁に置き換える手術で、胸を切り開いたり、心臓を止めたりすることはありません。治療に適しているかどうかは、循環器医、心臓外科医での十分な検討が必要です。この新しい治療法は、大動脈弁狭窄症が高度で大動脈弁置換術が必要な状態にもかかわらず、高齢であったり、心臓の機能が悪かったり、また心臓以外の他の病気のために通常の心臓手術(開心術)による大動脈弁置換術を受けるのが困難な場合に適応となります。
• 軽度大動脈弁狭窄 | - | 大動脈弁口面積 1.5 cm2以上 平均圧較差10 ~ 30 mm Hg |
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• 中等度大動脈弁狭窄 | - | 大動脈弁口面積 1 ~1.5 cm2 平均圧較差30 ~40 mm Hg |
• 高度大動脈弁狭窄 | - | 大動脈弁口面積 1 cm2未満 平均圧較差40 mm Hg以上 |
治療適応につきましては、専門の先生にお尋ねください。