鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

診療について

患者様へ:当科が専門的に行っている疾患・治療

患者様向け

高血圧症

高血圧の原因は様々ですが、大きく分けると
原因の分からないもの − 本態性高血圧症
原因の分かるもの − 2次性高血圧症
に分類することができます。

現在、様々な種類の降圧薬があり、それらを組み合わせて飲むことで、目標血圧値にコントロールすることが以前に比較してできるようになってきました。

ただし、原因の分かるものについては、降圧薬ではなく、その原因について治療を行うことで、高血圧が根治またはコントロールが良好になります。

現在の日本高血圧学会のガイドライン2019では、3種類以上の降圧薬の内服でも目標血圧に到達しないものを治療抵抗性高血圧症と定義していますが、この治療抵抗性の中には、多くの2次性高血圧症の症例が含まれております。

したがって、現在当科ではこれらの2次性高血圧症を診断することで、治療抵抗性の高血圧患者の血圧コントロール改善に取り組んでおります。

原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症は、高血圧性疾患患者の3−10%程度と言われておりますが、最近では、以前に比較すると更に多いとの報告があります。アルドステロンは、通常副腎で産生され、血圧上昇に関与していますが、何らかの理由で、アルドステロンが過剰に産生された場合、高血圧を呈します。

副腎は、両側の腎臓の上部に存在する左右1対の臓器で、その大きさは2−3cm程度です。アルドステロンが過剰に産生される原因としては、多くは副腎腺腫と副腎過形成です。

本疾患を疑う場合は、まずは、レニン(PRA)、アルドステロン(PAC)を安静30分臥床後に測定して頂き、PAC/PRA>200かつPAC>120ng/dL、の場合は、スクリーニング試験陽性として、精査をしています。様々な負荷試験を行ないます。

原発性アルドステロン症の確認試験としては、①カプトプリル負荷試験 ②立位フロセミド負荷試験 ③生理食塩水負荷試験 ④経口食塩負荷試験、を当科では行っています。

これらの検査が1つでも陽性となり、総合的判断で確定された場合は、病態に応じて手術による副腎摘出(片側病変、おもに腺腫)もしくはアルドステロンの作用を抑制する内服薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)での治療(両側病変、おもに過形成)を行うことになります。

腎血管性高血圧

腎動脈が狭くなることで起こる高血圧であり、高血圧患者の約1%に認められます。

中・高年者では動脈硬化が主な原因です。一方で、若年者では動脈硬化以外の原因で腎動脈が狭くなることがあります。

重症で、なかなか血圧が下がらない場合が多いです。腎機能は正常なこともありますが、両側腎動脈が狭くなれば、腎機能障害を認めます。また、心機能が問題なくても心不全をきたす場合もあります。

診断は、血液検査と腹部超音波ドプラー、各種血管造影などの画像診断で行われます。

治療は、薬物療法と血行再建術が行われます。腎動脈狭窄に対してバルーンやステントで拡張する経皮的腎動脈形成術が多く施行されています。

睡眠呼吸障害

一般によく知られているのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言われ、睡眠中の上気道(特に咽頭部)狭窄・閉塞を原因とする閉塞性SASです。他にも、中枢性SASや睡眠時低換気症候群があるため、睡眠呼吸障害(SDB)と総称することが増えています。

睡眠呼吸障害の症状は、いびきや無呼吸、昼間の過剰な眠気などです。ただし、それだけではなく、交感神経の活性化や炎症、酸化ストレスなどを介して高血圧・糖尿病・脳心血管病・突然死などの原因となることがあります。

自覚症状や基礎疾患を有する睡眠呼吸障害の方は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)という治療が効果的な場合があります。CPAPとは鼻から一定の圧を加えることによって上気道の閉塞を解除する治療のことで、自覚症状改善や心血管イベント抑制などの効果があります。