寄附講座のご案内
心血管病予防分析学講座
2024年 心血管病予防分析学講座のあゆみ
大石 充,川添 晋
本講座は社会医療法人義順顕彰会の御寄附により平成31年4月に発足した講座です。種子島を舞台として先制医療の確立と健康寿命の延伸を目指した研究「健康アイランド種子島」を遂行すること,および種子島をモデルとした心不全予防・管理体制の構築と社会実装を行うことを目標としています。
特定健診で得られるデータを用いて,生活習慣病に罹患していない人が5年後に高血圧,糖尿病,慢性腎臓病,メタボリックシンドローム,動脈硬化,心房細動などを発症する確率を予測するスコアを開発しました。これらを搭載した「生活習慣病発症予測アプリ」を産学連携で開発中であり,今後,種子島の1市2町で運用,社会実装していく形で進めております。保健指導の場で,あるいは個人がスマホで健診結果をゲーム感覚で入力し,健康意識を高めて頂く一助となることを狙いとしております。
高齢化による「心不全パンデミック」が医療負担,財政負担に深刻な影響を与えることが懸念されております。心不全は一度発症すると増悪寛解を繰り返しながら悪化をきたす予後不良の疾患ですが,高齢者の心不全においては,見守りや内服の順守などにより増悪を抑制することが期待されます。当科では,医療者と本人・家族の双方向性「心不全管理アプリ」を産学連携で開発中であり,これを実装し効果を検証することも視野に入れております。種子島医療センターのスタッフの方々,自治体の皆様とタッグを組みながら,新しい健康リテラシーを構築し,これらの成果を日本全国,世界に発信していきたいと思います。
その他にも前向きでの心不全関連のデータ収集・分析や既存ビックデータ解析などの研究活動を行っています。学外の専門家と共同で,データベースのAI解析による新たな知見の創出にも取り組んでおり,いくつかの疾患について予測モデルを作成しています。興味がおありの方はぜひお声かけ下さい。
文責:川添 晋