鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

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心血管病予防分析学講座 研究部門

臨床疫学部門担当:川添 晋

研究内容

種子島の1市2町を対象として、特定健診の結果を集計し、住民の健康状態の特性についての分析を行う。病院データ等から得られる死亡、心筋梗塞や脳血管疾患発症、入院等のアウトカムデータと合わせた分析を行い、リスク因子の同定や早期介入すべきポイントの探索を行う。結果を受診者個人および自治体に還元し、個人単位での健康増進や健康意識の向上を目指すのみならず、行政とともにデータに基づいた健康施策の策定・実施を目指す。

  1. 特定健診の受診率アップに向けた働きかけ
    • 市民公開講座の開催による島民の健康意識の向上
    • 市報への健康記事掲載、パンフレット配布等による健康意識の向上
  2. 特定健診や健康指導の内容をより魅力的に
    • 健康指導に直接役立つ検査の追加(例:尿中ナトリウム・カリウム値測定による減塩指導)
    • 特定健診受診時の薬剤相談
    • 健診結果の見方と生活指導に関する講習会を定期的に開催
  3. 特定健診の結果の分析
    • 人工知能(AI)を駆使した結果の分析
    • 個人別に心血管疾患に関する発症リスクを算出
    • 全国や鹿児島県の平均との比較を行い、自治体の健康施策の策定に寄与する

臨床薬理部門担当:徳重明央

研究内容

高齢化社会における合併疾患数の増加による多剤併用が多いことに着目し、少しでも減薬できないか検討するプロジェクトを行う。

  1. 減薬ラウンド
    • 多剤併用しており減薬可能な症例を薬剤師によりピックアップ。
    • 対象は療養病棟入院患者。特に整形外科からの慢性期症例。
    • 事前に患者背景(年齢、性別、基礎疾患、認知症、フレイルなど)、薬剤数や種類、アドヒアランスを確認。
    • 日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を参考に減薬できないか検討する。
  2. 特定健診と結びつけた薬の相談会の実施(予定)
    • 特定健診受診時に薬剤相談(お薬手帳の確認やアドバイス)を実施。
  3. 今後の研究
    • 鹿児島大学心臓血管内科にて透析レジストリー(KIDSレジストリ)を鹿児島県内4施設で行っており、PPI内服が透析患者の心血管イベントを増やすという結果が出た(Kosedo I, Tokushige A, et al. Eur J Intern Med. 2020;72:79-87. )。
    • 種子島医療センター通院中の透析患者を対象にPPIを減らす小規模なランダム化比較試験を行う。非劣性試験として、1年程度で出血イベントが増えないか、血栓イベントが減るかを検証する。