鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

研究について

研究:研究グループ

心エコー グループ

2023年 心エコー グループのあゆみ

堀添善尚, 濱元裕喜, 内山洋太, 田島亜佳里, 安田久代

この数年で,超音波検査グループが深く関わる診療は,二つの面で大きく様変わりしました。第一に,SHD 診療への関与です。2021年10月,発足した心血管病低侵襲治療センターが発足しました。SHDに対するカテーテル治療,すなわちTAVI に加えて,僧帽弁逆流のカテーテル治療(MitraClip®), 心房中隔欠損や卵円孔開存のカテーテル治療(Amplatzer™ ASD occluder,Amplatzer™ PFO occluder),経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN™)などの治療に対して,これまでになく詳細かつ多岐にわたるエコー評価を行っていかなければならない状況ですが,濱元先生を筆頭に,田島先生・内山先生・安田先生,澤田さん・寺岡さん・野口さん・湯之上さんといった,医師と技師の共闘体制で懸命に取り組んでいます。2021年度より心臓血管外科教授に就任された曽我欣治先生がMICS(小切開心臓手術)の技術を駆使して僧帽弁形成術などを施行され,我々も術前情報および術中・術後評価で正確な所見をお伝えすべく心エコー検査でバックアップしています。曽我教授の求めるレベルが高いため,我々も日々成長を感じることが出来ています。第二に,成人先天性心疾患(ACHD)診療の重要度が増していることです。現在,小児期に修復術を受けた患者さんらが,日本全国で年間10000人,成人にまで元気に成長しているといわれています。この数は,1年間の日本国内における新規発症の心筋梗塞患者数とほぼ同数です。虚血性心疾患と同等の患者さん達が,ACHD として成人心臓血管内科診療を受けるニーズがあります。もともとの先天性心疾患による遠隔期合併症のほかに,生活習慣病や癌など成人疾患も合併してくるため,心臓血管内科診療の新たな分野として診療体制を構築することが全国的に急務となっています。こういった背景から,前心臓血管外科教授の井本先生の時代から引き続き,全国で42施設しかない成人先天性心疾患の総合修練施設の認定も維持できました。また,ACHD 分野で最も診療が難しいといえるFontan 術後の患者さんたちの心臓カテーテル検査を含めた評価も,濱元先生・田島先生・内山先生をはじめ,小児循環器科の上野健太郎先生・川村順平先生らの助力のもとに少しずつ行っています。

かてて加えて,これまで通り,弁膜症診療,日々の心エコー評価など,我々が貢献できる領域は広がる一方であり,とてもやりがいを感じる一年でした。

鹿児島大学の心エコー室は,技師さんだけに任せきりでなく,自分でもエコーを撮って,その技術や解釈を臨床・研究に活かすことが大きな特徴と言えます。濱元先生はもちろんのこと,田島先生も内山先生も積極的にエコー検査に当たっており,非常に頼もしく感じています。

これまでどおり毎週火曜にはエコーカンファをしており,1週間の新患,外来症例,SHD 手技・心臓手術中エコーなどのエコー所見を技師さんらとともに検討し,計測法や画像の読影における意見のすり合わせを行っています。

これからも心エコーグループは超音波を駆使して循環器診療に貢献できるよう精進していく所存ですので,何卒よろしくお願いします。

文責:堀添善尚