研究:研究グループ
心エコー グループ
2022年 心エコー グループのあゆみ
堀添善尚, 濱元裕喜, 内山洋太, 田島亜佳里, 安田久代
2019年末から始まった COVID-19パンデミックは遂に第8波を迎えようとしており,もうパンデミック前の日常は戻ってこないかもと感じます。COVID-19後の新しい日常を少しずつ構築してきた一年だったかと思います。2021年の当グループは,尾辻豊先生の薫陶を受けた最後のメンバーである湯淺敏典先生という大きな柱を失う一方で,田島亜佳里先生,内山洋太先生といった新しいメンバーを迎え,エコー室としても新しい日常を作り上げてきた一年でした。
鹿児島大学の心エコー室は,技師さんだけに任せきりでなく,自分でもエコーを撮って,その技術や解釈を臨床・研究に活かすことが大きな特徴と言えます。田島先生も内山先生も積極的にエコー検査に当たっており,その力の伸びは瞠目すべきものがあり,非常に頼もしく感じています。
また,昨年10月に発足した心血管病低侵襲治療センターの診療にエコーで貢献すべく日々尽力しています。SHD に対するカテーテル治療,すなわち TAVI に加えて,僧帽弁逆流のカテーテル治療(MitraClip®),心房中隔欠損や卵円孔開存のカテーテル治療(Amplatzer™ ASD occluder,Amplatzer™ PFO occluder),経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN™)などの治療が一斉に開始となり,これまでになく詳細かつ多岐に渡るエコー評価を行っていかなければならない状況です。昨年度より心臓血管外科教授に就任された曽我欣治先生が MICS(小切開心臓手術)の技術を駆使して僧帽弁形成術などを施行され,我々も術前情報および術中・術後評価で正確な所見をお伝えすべく心エコー検査でバックアップしています。また,病棟・外来では弁膜症,ACHDの患者さん方を中心に診療しています。
最も特筆すべきことは,濱元裕喜先生が“A new pre-test probability score for diagnosis of deep vein thrombosis in patients before surgery,Journal of Cardiology 2022; 79: 664-670.”の論文で学位を取得したことです。外来診療と同時にエコーをとりつつ,感染性心内膜炎を含めた重症患者の入院診療に当たるという臨床をこなしつつ,研究面では学会発表と並行して論文を書き進めるという難事をやってのけ,正に獅子奮迅の活躍というべきでした。さらにKagoshima DVT scoreの確立に向けて研究を更に発展させようと頑張っています。
安田久代先生はInternational Society of Hypertension Kyoto 2022にてBest Poster Presentation Award [Clinical Science] を受賞されました。
これまでどおり毎週火曜にはエコーカンファをしており,1週間の新患,外来症例,SHD 手技・心臓手術中エコーなどのエコー所見を技師さんらとともに検討し,計測法や画像の読影における意見のすり合わせを行っています。これからも心エコーグループは超音波を駆使して循環器診療に貢献できるよう精進していく所存ですので,何卒よろしくお願いします。
文責:堀添善尚