鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

研究について

研究:研究グループ

腫瘍循環器グループ

2023年 腫瘍循環器グループのあゆみ

德重明央,柴田啓佑

腫瘍循環器グループとしてこの研究室一年の歩みに載せていただくことは初めてですので,少し腫瘍循環器そのものや,グループの紹介からさせていただきます。

周知の通り,がん診療の進歩によりがん患者の予後が向上し,がん患者やがんサバイバーで循環器疾患が問題となることが増え,「腫瘍循環器」が注目されています。2017年に日本腫瘍循環器学会が設立され,2018年に第1回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催されました。2023年には本邦で初めての“Onco-cardiology ガイドライン” も刊行され盛り上がってきております。

当科では2019年4月より德重明央先生(現所属:琉球大学臨床薬理学)が腫瘍循環器外来を開設し,2021年9月からは柴田も外来を担当させていただいております。現在木曜日の1日だけではありますが,腫瘍関係の診療科からご紹介いただいております。ガイドラインに“ 最も必要とされるのは,いかにがん治療を中断させずに循環器疾患のマネジメントを行っていけるかという技量である” と記載されており,この言葉を胸に診療にあたっています。

また,疾患の特性上がん診療科の医師,メディカルスタッフとの連携が重要です。そのため,待っているだけではなくこちらから当該診療科にコミュニケーションをとらせていただくことも重要と考えております。例えば,今年はレンバチニブというマルチキナーゼ阻害薬に関連する高血圧症の後ろ向き研究を計画し,関連の医局や薬剤部にお邪魔させていただきました。そこでレンバチニブによる高血圧についての現状やどのような時に紹介してほしいなどといった情報共有をする機会を頂きました。院内でのこのような活動を通していわゆる「顔の見える関係」の構築に繋がればと考えております。

研究としては,相良病院の相良安昭院長ご協力の下,共同研究として乳がん症例のコホート構築を行っており,乳腺動脈石灰化(BAC)と冠動脈石灰化(CAC)との関連,がん治療関連心筋傷害(CTRCD)のリスク因子探索など,解析を進めております。その他,神経内分泌腫瘍の症例報告をpublish することができ,学会も複数参加し,症例報告や研究成果を報告することができました。また,九州圏内で腫瘍循環器に携わっている先生方とネットワークを構築するため,「CO サロン」という研究会を立ち上げ,年2回web 上で交流しております。ご興味がある先生がいらっしゃいましたら,ぜひお声掛けください。

がん自体やその治療により,心筋症,血栓症,不整脈,動脈硬化(高血圧症),肺高血圧症,弁膜症とほぼすべての循環器疾患をきたすため,各診療グループの先生方にご協力いただきながら診療を行っております。この場を借りて感謝申し上げます。

ご迷惑をおかけすることも多々ありますが,引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

文責:柴田啓佑