鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

講座について

教授ご挨拶

教授ご挨拶(バックナンバー)

2019年1月掲載

新元号とともに新たなスタートを切るために
心臓血管・高血圧内科学分野教授 大石 充

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。2019年は現天皇が退位され平成から新しい元号に変わって、日本全体も新しい門出を迎えることになります。皆様はどのような2019年を迎えられるのでしょうか?

心臓血管・高血圧内科学分野も新しいことにチャレンジをしていこうと思っております。そのうちの一つが寄付講座の新設です。2019年4月より社会医療法人義順顕彰会種子島医療センターのご厚意により心血管病予防分析学講座を開設することになりました。種子島を舞台として、特定健診や学校健診をうまく利用しながら島民の健康分析をして、心血管病予防をするための戦略を解析することを目的としています。赴任当初より鹿児島の一つの武器は人口移動が少なく、高齢化が進んでいることであると感じており、レジストリ・コホート研究にはうってつけの環境であると考えておりました。そこで、リアルワールドデータ解析の第一人者である京都大学薬効分析学川上浩司教授およびRCTや臨床研究の第一人者である琉球大学臨床薬理学植田真一郎教授のもとに国内留学をしていただいて研鑽を積んできてもらいました。その両名を4月より特任講師として迎え入れ、私が兼任教授として寄付講座の運営に当たりたいと考えております。行政・医師会との強力なタイアップに加えて、産学連携を推進して種子島の地場産業と連携して、健康食品や健康製品の共同開発などにも取り組んでいきたいと思っております。「健康アイランド 種子島 ~住むだけで元気になれる島~」を合言葉に離島から世界へ情報発信をしてまいりたいと思います。

私の専門分野の一つである高血圧でも新しい展開を考えております。鹿児島県で最も脳卒中の多い枕崎市を舞台として、「高血圧ゼロの街 枕崎」を展開したいと考えております。私は高血圧を専門として10年ほど経ちましたが、「なぜ血圧管理に対する関心が薄いのか?」が大きな疑問でした。血圧を下げることのメリットが伝わっていないからではないかと考えて、脳卒中や透析導入が非常に多い地域を丸ごと血圧管理をしたら街がどのように生まれ変わるのかを示すことが、私の疑問に対する答えを導いてくれるのではないかと考えていたところ、枕崎市長が賛同していただき、行政・市立病院・医師会などにも働きかけていただいて、市民全員が血圧を測定して、血圧が高ければかかりつけ医の先生に管理をしていただくという非常にシンプルな試みを4月より行うことになりました。この試みが好成果を生み出すものと確信しており、この取り組みがやがて鹿児島県全体そして日本全体に広がってくれることを願っています。

臨床面に目を向けますと、昨年から始まったTAVIをさらに推し進めるために、心臓血管外科井本浩教授と連携を取りながら、低侵襲弁膜症治療センター(仮称)構想を実現していきたいと考えております。将来的にはMitraClipなど更なる低侵襲弁膜症手術の導入可能性が高く、新しい循環器医療の幕開けをぜひとも当科より発信していきたいと考えております。また、今後増え続けるであろう悪性新生物と循環器医療とのかかわりに関しても力を注いでまいりたいと思っております。腫瘍循環器外来の立ち上げと腫瘍循環器のメッカである大阪国際がんセンターへの国内留学など、腫瘍循環器に関しても、高度で信頼性の高い医療を提供していける体制整備をしていきたいと思っております。

2018年までに築き上げてきた実績ももちろん今後大きく発展させていかなくてはいけません。昨年は赴任以来初めてPCIが200例を超えました。垂水研究の本試験が開始となり、多方面から非常に高い関心を寄せていただき、高血圧教室や腸内細菌解析など新しい解析もどんどんと取り入れられそうです。2019年が当分野にとって激動かつ有意義であるように精進していきたいと思っておりますので、皆様のご指導よろしくお願いいたします。