教授ご挨拶
教授ご挨拶
鹿児島大学 | 心臓血管・高血圧内科学 心血管病予防分析学 |
---|---|
教授 大石 充 |
2025年、あけましておめでとうございます。2024年は新型コロナ禍から脱出して懐かしい景色がよみがえった感じがしました。学会はほぼon siteで行われるようになり、懐かしい顔に出会いながら熱いディスカッションを展開することができました。ポリクリ学生との飲み会も復活し、現在の学生気質に触れることができて私のリフレッシュ時間が戻ってきました。このように少しずつ現実が戻りつつあるように感じています。
さて2024年を振り返ってみたいと思います。まずは鹿児島大学病院 脳卒中・心臓病等総合支援センター(厚生労働省モデル事業1800万円)の開設が挙げられます。2018年に成立した「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(通称 脳卒中・循環器病対策基本法)」を受けて各都道府県に1カ所だけ脳卒中・心臓病等総合支援センターを設置して、予防~治療~社会復帰の啓発支援をすることを目的とした事業です。2022年から募集されましたが、なかなか採用してもらえずに3度目の正直で何とか採用していただきました。鹿児島県と連携しながら脳卒中および心疾患の啓発をするという我々にとっては行政とのタイアップができる大変ありがたい事業であります。大学病院HPにコーナーを設けていただきましたのでご参照いただければと存じます。(https://www.hosp.kagoshima-u.ac.jp/department/nou-shin/)8月から稼働を開始したばかりですが、県からは「実績を示すように」と矢のような催促があって、借金取りに追われる人の気持ちが何となくわかる気がしてきました(単なる愚痴)。せっかくの機会ですので、鹿児島のプレゼンスを示すためにも一歩一歩前に進んでいきたいと思っております。事業の最大の問題点は事務員を募集しても応募していただけないことです。私が事務員の代わりをしており、これが亀以上に前に進まない最大の壁であります。これをお読みの方々の周りにふさわしい方がいらっしゃいましたら、ご一報いただければ幸いです。
仕事面の2つ目は特許の申請とアプリの開発でしょうか?特定健診データを用いた5年後生活習慣病発症予測アプリ(特願2023-215790)、対話型心不全管理アプリ「心不全交換日記」(特願2024-100233、商標登録出願2024-106249)、心アミロイドーシスの診断フローチャート(特願2024-082888)と2023年末~2024年春に立て続けに3件の特許を申請しました。アプリ開発は鹿児島の企業との共同開発にこだわりました。生活習慣病発症予測アプリは株式会社フォーエバーと、心不全交換日記は株式会社ARSと一緒に作成しており、皆様がこの年報を見ておられる頃にはアプリが出来上がっていると思います。特定健診と特定保健指導の受診率の向上を国は自治体に求めています。受診率の向上ももちろん最重要ですが、自分の健康状態の“見える化”が最も重要ではないかと考えていました。そこで鹿児島厚生連健診センターのデータを分析して、高血圧・糖尿病・CKD・メタボなどの生活習慣病になる確率を現在の健診データから予測することにより、生活習慣の改善によりその確率がどれくらい下がるかを見える化するという生活習慣病発症予測アプリを作成しました。また、鹿児島県の心不全患者は高齢化が進み、独居や老々介護の症例が多く、生活習慣の乱れから再入院を繰り返す例が数多く見受けられます。我々はLINE様機能を搭載した心不全管理アプリを開発しております。日々の体重変化や血圧などでアラートを出したり、薬の飲み忘れをするとアラートを出すような機能だけでなく、患者および医療関係者だけでなく、介護・福祉関係や遠方にすむ家族と情報共有ができるLINE様機能を搭載して、見守り機能と随時受診をしているような仮想診察室を実現することを目的としております。特定健診および特定保健指導の強化に役立ててもらいながら、心不全交換日記で高齢化が進む鹿児島の循環器診療を少しでも改善できればと思っております。
はぁと村の実質的な活動開始も2024年のビッグイベントの一つかもしれません。若い医師や医師の卵のためにDASH村を鹿児島にと考えて、2018年に一般社団法人鹿児島ハート倶楽部を立ち上げて、2019~2020年に農家をリフォームしたら、まさかの新型コロナ禍・・・2023年には果樹園も開墾しました。農業や餅つきなどは感染拡大の合間を縫って行ってきましたが、今年になってやっと念願だった医局員や仲間との交流BBQをすることができました。やっぱり楽しかったです。アプリ開発仲間とも交流できました。私が毎年作っている梅酒をソーダ割にして振舞ったり、〆のシーフード塩焼きそばを作ったりと楽しませてもらいました。もちろん餅つきなどの年中行事は今年もさせていただきます。この巻頭言は10月下旬に書いておりますが、明日は芋ほり+BBQです。天気だけが心配ですが・・・今までのBBQでは晴天になったことはあまりなく、誰か雨男もしくは雨女が潜んでいるのではと思っております。ただし不思議なのは中止になるほどの悪天候にはならないことです。いずれにせよはぁと村を通じてみんなが楽しく医療を行えればと思っております。
2024年も歩みは遅いですが一歩一歩前進をしてきたような気がしております。2025年も1ミリでも前に進めるように医局員の後押しができればと思っております。