鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

講座について

教授ご挨拶

教授ご挨拶

時代の変化とre:start
鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学
心血管病予防分析学
  教授 大石 充

心臓血管・高血圧内科学分野教授 大石 充

2023年5月新型コロナが5類へ移行し日本全体が解放感に包まれた感じがしていました。我々医療関係者も『5類になっても病原性には全く変わりはない』とわかってはいるものの、何となくほっとした感じがしたのではないでしょうか?5類に移行してからは、東京や大阪へ出張に行く機会も増えてきていますが、都会のマスク着用率は鹿児島に比べて格段に低く、マスク着用者がマイノリティのような感じです。このような状況下で6月3・4日に鹿児島県民交流センターで第59回日本循環器病予防学会学術集会を主催させていただきました。以前は日循協と呼ばれていた学会であり、保健師および公衆衛生が中心となって循環器内科医が参加するというメンバー構成の学会です。3年ぶりの対面開催で、天気予報では鹿児島に台風が直撃する予報で大変心配していましたが、当日は青空も見えており絶好の学会日和となりました。参加者438名、応募演題113題は史上最高だったそうで、一般演題やシンポジウム・パネルディスカッション・ディベートで非常に活発なディスカッションが繰り広げられ、「面白い」「やっぱりオンサイトはいいね」というお声を数多くいただき、事務局として奮闘してくれた窪薗琢郎先生をはじめとした医局員の先生方に厚く御礼申し上げます。また、院外医局員やOBの方々にも数多く発表していただいたり、ご来場いただいたことにもこの場を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。鹿児島パワーを少しは示すことができたかなとちょっと誇らしく思っています。実は、学会運営は事務局長である窪薗先生に任せて、私は会長招宴に全てを賭けていました。大阪時代の2人の恩師(荻原名誉教授、楽木教授)や鄭忠和前教授はもちろんのこと、大津国循理事長や岡村学会理事長および学会関係の様々なメンバーにお越しいただきました。皆様に子供のような笑顔で楽しんでいただいたり、ご家族でいらしてくださった先生方もあり、大変楽しい時間を過ごすことができたと思っています。運営を手伝ってくれた医局員やラボさん、とりわけすべてを取り仕切ってくれた東さんには言葉では表せないほど感謝をしています、ありがとうございました。後日、恩師の楽木教授より『医局員がてきぱきと動いて楽しそうにしていたのが素晴らしかった』とのメールをいただき、わが医局員を誇らしく思いました。

新型コロナで変わった風景もあります。コロナ前に行われていたポリクリ学生との親睦会(飲み会)も復活させても良いような空気感が出てきたので、それまで行われていた昼食会と飲み会をポリクリ学生にチョイスをしてもらうことにしました。すると9割のグループが昼食会を選び、1班だけが飲み会を選びました(アムステルダムでのヨーロッパ心臓病学会から帰国した夜に飲み会に参加した)。他大学の教授や病院の部長に聞いてみると、異口同音に『時代の流れなのだろうか?』と同じような現象に遭遇しているようです。新聞報道などを見ても、新型コロナ禍で若い人には面倒に思っている飲み会が減ったことをありがたく思うというアンケート結果もあるようで我々おじさんたちには少し寂しい反応です。学生との交流の場も一つの活用法として作ったはぁと村ですが、新型コロナ禍が思惑を吹き飛ばしてしまったようで何とも寂しい思いです。ポリクリ学生さんには面倒なオジサンとお付き合いをしてもらえたらいいなと思っていますが、強要するとアカハラ・パワハラになるし難しいところです。これからはシイタケの美味しい季節になります。シイタケBBQなんか最高なんですけど、だめですかね・・・

さて、昨年の年報に関連基幹病院の臨床研究があまり芳しくないと書いたところ、今年は関連病院からの学会演題募集が大幅に増えました。名指しされた医療センターと市立病院の意地と努力と結束力の賜物の思っております。私が若いころにお世話になった桜橋渡辺病院の南野隆三副院長は『学会発表は良いCMになる。どんどん出すように。』と言われていました。自分たちの医療の良さをアピールし、自分が行っている医療が正しいかを他人に判断してもらうことは非常に大切です。『こんなに多くの手技をしているんだ』という単なる自己満足に終わるのではなく、国内外にアピールをして批判・改善されてこそ、良い医療を鹿児島県人に受けてもらうことができると思っています。2023年1年間の鹿児島大学心臓血管内科および関連病院グループの総業績は前年比1.5倍にジャンプアップしました。これをホップとして、2024年はステップ、そして2025年にはジャンプと更なる飛躍を期待しております。

2023年の私としての大きな出来事はSEGODON ProjectのPfizer Global Medical Grant(1000万円/2年)の獲得と特許出願の学内審査通過だろうと思っています。SEGODON Projectは脳卒中専門医と循環器専門医がメディカルスタッフとしっかりと連携して心原性脳塞栓を予防するプロジェクトであり、関係者から脳卒中と循環器、すなわち一次予防と二次予防がここまでしっかりと手を携えて挑んでいる地域は他に見当たらないとお褒めの言葉をいただいております。プロジェクトを推進させる燃料が欲しいなと思って10,000字以上の英語の申請書を作成して、なんとか採択していただきました。2024年から2年間のグラントですが、しっかりと形にしていきたいと思っております。また、特許に関して詳しいことはここに書けませんが、“予防に勝る治療なし”を社会実装して、鹿児島のみならず全国の生活習慣病予防の手助けになるのではと思っております。

2023年は夜明けの年となりました。2024年はここ数年貯めに貯めていたパワーを一気に爆発させて、大輪の花を咲かせてみたいと思っております。2024年もよろしくお願いいたします。