鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

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Department of Cardiovascular Medicine and Hypertension, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

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教授ご挨拶

教授ご挨拶(バックナンバー)

2018年1月掲載

就任5周年 ~感謝とともに新たなスタートに向けて~
心臓血管・高血圧内科学分野教授 大石 充

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。2013年2月から鹿児島大学にお世話になって早5年が過ぎようとしています。光陰矢のごとしと言われますが、本当にあっという間でした。鹿児島に何の縁もゆかりもなかった私を教室員やOB、また多くの皆様が温かく迎えていただき、大変感謝しております。おかげ様で大きな事故もなく5周年を迎えることができました。私生活では、この5年間で鹿児島に家を建て、大阪の家を売却し、長男が鹿児島大学医学部に入学し、ついには大阪ナンバーの愛車も手放すことになりました。完全な鹿児島県人化の完成です。(鹿児島弁は無理ですが・・・)

赴任時には49歳でしたので、16年間の教授生活を5年ごとの3段階―ホップ・ステップ・ジャンプ―と考えていました。ホップの5年間では様々なことにチャレンジをさせていただきました。臨床面では就任早々から24時間365日循環器救急が医局員の頑張りで実施されて今まで続いており、今年からはCCUネットワークでも大学病院が単独で救急を受け入れる体制となります。ACHD(成人先天性心疾患)専門外来を立ち上げて、小児循環器の先生方との連携をしながら患者さんの受け入れを続けております。また、今年2月B棟完成とともに同一フロアにカテ室とHCUを備えた循環器センターがオープンして、心臓血管外科と当科が同一フロアで切れ目のない診療体制を確立することができそうで、循環器診療のさらなる充実が大変楽しみです。ハイブリッド手術室が完成し、TAVIを含めた先進医療の導入や体内式VAD装着患者のフォローも始まりました。就任時に県内すべての医師会を回って病診連携の会を行った頃を思い出すと、それから一歩一歩前進をしていると感じております。

鹿児島循環器診療の集約化も重要な問題ですが、鹿児島循環器教育協議会を立ち上げて年に一度の症例報告会を通じて若手循環器医師の育成を行ってきました。今年からは2名の当科医師が県立大島病院で離島循環器救急に従事することになりました。2018年は鹿児島循環器診療の新たな1頁となるものと思っております。卒前卒後教育を充実させて鹿児島に残る医師を育てることが大きな目標でしたが、毎年コンスタントに入局してくれる若者が増えており、Most Valuable Teacher賞も2回いただきました。入局者が増えたことにより若い頃から国内留学をさせることが可能になってきました。これからも精進をして就任時には夢にも描いていなかった新専門医制度に立ち向かっていきたいと思います。

研究面でも約束が現実化しつつあります。高齢化率40%の限界都市である垂水市における高齢者健康コホート研究を立ち上げて2018年より本格稼働を開始します。垂水研究は65歳以上の約6000人を対象とし、我々だけでなく、歯学部、保健学科(理学療法・作業療法)、薬剤部、法文学部心理学、県栄養士会、保健師、医師会、行政など他職種が連携したコホート研究であることが特徴です。鹿児島・垂水から世界に発信できればと思っています。また、厚生連健診データベースや透析患者循環器レジストリなど多くのレジストリ研究が走っており、これから多くの研究発信が期待されています。さらに基礎研究をしたいから大学に帰りたいという若者が出始めました。大変ありがたいことです。確実な臨床力をつけるためには基礎研究を垣間見ることは極めて重要です。バランスの取れた医師が育ってくれることを願っています。

このように振り返ると鹿児島の皆様に快く受け入れていただいた5年間でした。医局員も私の無茶ぶりに戸惑いながらも頑張ってくれて大きな成果を上げることができたと思っています。2018年はホップからステップへと新しい段階へと進んで行かなければなりません。やはり原点に戻って教育・診療・研究をさらに充実したものにしていく必要があります。特に教育面では長きに渡っていただいていたBest Coordinated Course 賞を取ることが出来ませんでした。先輩たちが作り上げて下さった教育体制の上に胡座をかいていた報いであると強く反省しております。もう一度、魅力ある循環器病学とは何かを含めて学生さんが理解しやすい教育課程を構築したいと考えております。診療面では5年間の進捗状況をかかりつけ医の皆様にお伝えすべく、県下すべての医師会を訪問させていただきたいと計画をしております。研究面ではコホート・レジストリを軸とした疫学研究、大学および関連病院診療内で行う臨床研究、および心筋・血管の維持・老化に関する基礎研究を三本の矢として世界に発信できるアウトカムを出していきたいと思っています。この5年間に感謝するとともに鹿児島循環器診療のさらなる充実のために、環境整備と教育が私の使命だと思っております。皆様よろしくお願いいたします。